雑誌のおすすめ銘柄で約400万円の損。13年塩漬けにした株をやっと損切りした記録
この記事の目次
マイナス70%、金額にして約400万円の含み損。その株を私は10年以上、わざと売らずに持ち続けました。
塩漬けにしていたのではありません。意図して、売らずに残していました。証券口座を開くたびに、その真っ赤な数字が目に入る。その状態を、自分でつくっていたのです。投資の失敗と、そこで自分が何を間違えたかを、忘れないために。
この記事は、投資のやり方を説く話ではありません。投資を始めたばかりの私が雑誌のおすすめ銘柄に勝負をかけ、大きく負け、その失敗と13年どう付き合ってきたか。一人の経営者の、心の記録です。同じように個別株で動けなくなっている方が、「売れない株」との向き合い方を考える材料になるはずです。
自分の取引記録だけを頼りに、できるだけ正直に書きます。
雑誌の注目銘柄に、初心者だった私が勝負をかけた
話は2012年にさかのぼります。私が本格的に投資を始めた年です。当時の私は完全な初心者で、株のことは何も分かっていませんでした。
それでも何か始めたい。そう思って手に取ったのが、投資雑誌のZai(ダイヤモンド・ザイ)でした。書店に並ぶ、一般向けの月刊誌です。その誌面に注目銘柄として紹介されていた一つが、ユーグレナという会社でした。
惹かれた理由は、二つあります。一つは、雑誌のおすすめだったこと。専門家が選んだ銘柄なら間違いないだろう。初心者の私は、そう素直に信じました。
もう一つは、その会社の事業そのものです。ミドリムシ、正確には微細藻類のユーグレナを使ってバイオ燃料をつくり、その燃料で飛行機を飛ばす。そんな構想を掲げた会社でした。理科の教科書に出てくる小さな生き物が、空を飛ぶ力になる。その夢のような話に、私は心を動かされました。
数字を見て買ったのではありません。雑誌のお墨付きと、夢への共感。その二つだけで、私は投資初心者として最初の本気の勝負をかけたのです。
含み益数百万円。「お宝銘柄を引いた」と勘違いした
ストップ高が続き、売らなかった
買ってまもなく、その株は勢いよく上がり始めました。一日の上昇幅の上限まで値が付く、ストップ高という状態が続きました。
口座の中で、含み益がふくらんでいきます。数百万円。画面の数字が、毎日のように増えていく。投資を始めて間もない私には、めまいがするような体験でした。
このとき、私はとんでもない勘違いをしました。「自分は、お宝銘柄を引き当てたのだ」。そう思い込んだのです。この上昇はこれからも続く——今ふりかえれば、そう信じる根拠はどこにもありません。それでも当時の私は、利益が出ているという事実だけで、自分の判断は正しかったと信じ込みました。だから、売りませんでした。
数百万円の含み益を見て「自分の判断は正しかった」と信じ込んだ——いまの私から見ると、何の根拠もない確信でした。
下がっても「売らなければ損じゃない」と思った
上昇は、永遠には続きませんでした。ある時期を境に、株価は下がり始めます。ふくらんでいた含み益は少しずつ消え、やがて利益はなくなり、画面の数字はマイナスに沈みました。
普通なら、ここで売る判断もありました。けれど私は、売れませんでした。理由は二つあります。
一つは、期待です。「あの高値に、いつかまた戻るはずだ」。一度は数百万円の含み益を見ているだけに、その記憶が私を縛りました。
もう一つは、もっと厄介な心理です。「売らなければ、損は確定しない」。画面がマイナスでも、売却ボタンを押さなければ、損失は数字の上の話にとどまる。そう自分に言い聞かせて、現実から目をそらしました。
含み損を直視しない。その楽な逃げ道に入り込んだまま、私はこの株と長く動けなくなっていきました。
その株を10年以上、「自戒の記念碑」としてあえて残した
含み損を抱えたまま動かせない株を、塩漬けと言います。私のユーグレナは、その塩漬けの状態に入りました。期間は、10年以上に及びます。
最初の数年は、たしかに「いつか戻る」と期待していました。けれど時間がたつにつれ、その期待は薄れていきます。経験を重ねるうちに、私にも分かってきました。この株がかつての高値まで戻ることは、もうないだろう。そう理解していました。
普通なら、ここで「怠慢な塩漬け」になります。直視したくないから、売らずに放っておく。けれど私の場合は、少し違いました。ある時期から、私はこの株を「あえて」持ち続けるようになったのです。怠慢ではなく、意図して残す。そういう持ち方に変わりました。
理由は、一つです。
その株の含み損は、マイナス70%。金額にして、約400万円。証券口座を開けば、その真っ赤な数字が、いやでも目に飛び込んできます。私は、その状態を自分から選びました。
なぜか。投資の失敗を、忘れないためです。
数字も見ずに勝負をかけ、含み益に浮かれ、含み損から目をそらした。その過ちのすべてを、私はこの真っ赤な数字に閉じ込めました。口座を開くたび、約400万円のマイナスが、当時の自分の浅はかさを突きつけてくる。
だから私は、これを「自戒の記念碑」と呼んでいました。失敗を刻んだ碑として、わざと目に見える場所に置いておく。同じ過ちを、二度と繰り返さないために。売って視界から消してしまえば、その痛みもいつか薄れてしまう。それが怖かったのです。
10年以上、私はその碑とともに過ごしました。
真っ赤なマイナス400万円の数字を、わざと毎日見続ける。いま思えば変な持ち方ですが、当時の私には必要な儀式でした。
もう同じ失敗はしない。そう確信できた日に、淡々と損切りした
その記念碑を、私はある日、手放しました。2025年の10月のことです。
きっかけは、劇的な出来事ではありません。投資を始めて十年以上、私は数えきれない失敗と試行錯誤を重ねてきました。そのなかである日、ふと静かに確信したのです。「もう、いちいちこの数字を目にしなくても、私は同じ失敗を繰り返さない」。
その瞬間、記念碑の役目は終わりました。忘れない自信がついた以上、碑を置いておく必要はもうありません。だから私は、売ることにしました。
実際に売却ボタンを押したとき、大きな感情の波はありませんでした。13年も持ち続けた株を、約400万円の損を確定させて手放す。それなのに、驚くほど淡々と実行できました。
そして、その淡々とした感覚こそが、答えでした。もしまだ未練や動揺があったなら、私はきっと売れなかったはずです。何の波もなく売れたという事実が、「もう大丈夫だ」という何よりの証明でした。
売却を終えて、私は心に決めました。同じ投資の失敗は、二度としない、と。
戻ってきたお金は、低コストのインデックスファンドへ移しました。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と、SBI・V・S&P500です。圧倒的に減った資金でも、眠らせておくより最適な場所へ動かすほうがいい。塩漬けを続けるより、結果としてそのほうがよかったのです。この判断は、親記事に詳しく書いています。
あの日の「何の波もなく売れた」感覚は、いまも忘れません。13年かかった卒業式のような瞬間でした。
同じ轍をもう一度——オークファンの失敗
実は、私が雑誌のおすすめで負けた個別株は、ユーグレナだけではありません。
オークファンという会社の株も、私は同じように買いました。きっかけも同じ、投資雑誌Zaiのおすすめ銘柄だったからです。
このときも、私は会社の中身を自分で調べていませんでした。利益は出ているのか、財務は健全なのか。そうした指標やファンダメンタルズ、つまり会社の体力を示す数字を、私は一切見ていません。見ていたのは、ただ一点。「雑誌のおすすめかどうか」。それだけでした。
オークファンの株も、一時は大きな含み益が出た時期がありました。けれど長い目で見れば、結果は損です。累計でおよそ300万円規模のマイナスになりました。
ユーグレナとオークファン。同じ雑誌の、同じ「おすすめ」で、私は同じ轍を二度踏みました。この二度目の失敗が、一つの区切りになりました。「数字の根拠がない個別株には、もう手を出さない」。そう決心する起点になったのです。
雑誌のおすすめで買うのは、やめた
13年の経験を経て、私の個別株との付き合い方は大きく変わりました。一言で言えば、「他人のおすすめで買うこと」をやめたのです。
かつての私は「雑誌が選んだから」「専門家がすすめているから」という理由で株を買い、自分の判断を他人に預けていました。
今は違います。買うかどうかを決めるとき、私は自分なりの数字の基準で見ます。会社の体力を示す指標を自分の目で確かめ、納得できなければ買わない。雑誌の見出しではなく、自分の物差しで判断する。過去の私と今の私の違いは、その一点に尽きます。
具体的にどんな基準で売り買いしているかは、ここでは書きません。それは私個人のやり方であって、誰かにすすめられるものではないからです。
このブログを始めた理由は、最初の記事に書いています。
ふく郎のまとめ
- 投資を始めたばかりの私は、雑誌のおすすめ銘柄に、数字も見ずに勝負をかけた。共感だけで買った株だった。
- 含み益が数百万円になり「お宝銘柄を引いた」と勘違いした。下落しても「売らなければ損じゃない」と直視を避け、塩漬けに入った。
- マイナス70%・約400万円のその株を、私は10年以上「自戒の記念碑」として、あえて手元に残した。失敗を忘れないためだった。
- 2025年10月、「もう同じ失敗はしない」と確信できた日に、淡々と損切りした。波なく売れたこと自体が、記念碑の役目が終わった証だった。
- 雑誌のおすすめで買うのはやめた。今は、他人の判断ではなく、自分なりの数字の基準で考えるようになった。
本記事は2026年5月時点での、私個人の体験の記録です。特定の銘柄や投資手法をすすめるものではありません。投資の判断は、ご自身の責任で、最新の情報を公式の情報源で確認したうえで行ってください。
代々続く家業を継いだ40代半ばの現役経営者。近年中に事業を第三者へ譲り、FIREを目指す。 サラリーマンとは違う「経営者視点」のお金の話を、個人資産の実数値を公開しながら発信中。
ふく郎について詳しく →次に読む
-
悔 投資の失敗と教訓FXを1〜2ヶ月で即撤退した経営者の話|事業に集中できなくなる、丁半勝負だった
「分散投資の一環」のつもりで始めたFXを、私は1〜2ヶ月で即撤退しました。理由はシンプルで、これは投資ではなく丁半勝負だったから。仕事中もチャートが気になり、事業に集中できなくなる致命傷も含めて、率直に書きます(2026年5月時点)。
-
悔 投資の失敗と教訓ロボアドを7年運用して、オルカンに乗り換えるまで|AIに払った手数料が教えてくれた『直売』の話
2016年から7年運用したウェルスナビとTHEO。利益はちゃんと出ていた。それでも私はすべて解約し、オルカンとS&P500に乗り換えました。手数料1%の本当の意味と、AIに任せることの限界について(2026年5月時点)。
-
悔 投資の失敗と教訓数千万円を投じたソーシャルレンディングの失敗|助かったのは運だった
ソーシャルレンディング4社に数千万円規模を投じた40代経営者の記録。maneoで約130万円の貸し倒れ、SBIは不正に遭うも補填で命拾い。お金は大きく減らなかった——でも、それは運でしかありませんでした(2026年5月時点)。