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ロボアドを7年運用して、オルカンに乗り換えるまで|AIに払った手数料が教えてくれた『直売』の話

読了 約12分
この記事の目次

7年運用したロボアドバイザーを、私は2025年1月にすべて解約しました。

乗り換えた先は、SBI証券で買えるオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)とS&P500。それだけです。

利益が出ていなかったわけではありません。むしろ、ちゃんとプラスでした。それなのに、なぜ全部やめてオルカンとS&P500だけに戻したのか。

7年の運用でAIに払い続けた手数料が、最後に教えてくれたのは、「直売の野菜と、業者を挟んだ野菜は、中身は同じだ」という、ごく当たり前のことでした。

2016年、私はAIに資産運用を任せた

ロボアドバイザーを始めたのは2016年。

今でこそChatGPTやClaudeを毎日使っていますが、当時の「AI」はまだまったく別物でした。2016年の流行語にも候補入り。「人工知能」というワードが、漠然と賢く、未来的で、SF的なワクワクをまとっていた頃の話です。

ネットニュースで「AIが資産運用をしてくれるサービス」というものを知り、自分で調べていきました。THEOを2016年から、翌2017年にウェルスナビも追加。

本格的にまとまった額を入れたのは2017年5月で、2社合わせて約400万円(各200万円ずつ)を初期投資として一括投入しました。

その後は月2万円ずつ、合計月4万円のコツコツ積立に切り替えて、ほぼ7〜8年。スタートはこれくらいの規模感でした。

当時の自分が「AI」に感じていたイメージを、いま正直に言葉にするとこうなります。

  • 人間より客観的に判断してくれるはず
  • ビッグデータを解析して、最適解を出せる超一流の投資家に相当する判断ができるはず
  • プロのファンドマネージャーの代替になり得る
  • 漠然と賢くて未来的

これは、いまClaudeやChatGPTを使っている感覚と、地続きです。「自分よりも、はるかに賢い何か」に判断を委ねる。それは2016年も2026年も、同じ。

ただ、当時と今で決定的に違うのは、私の側の知識量でした。

ふく郎

「AIに任せれば賢く運用してくれる」——10年前の私は、本気でそう信じていました。いま振り返ると、その期待は完全に誤りでした。

7年運用のリアルな数字

エクセルに手入力で記録してきた、THEOとウェルスナビの推移がこちらです。2017年5月の本格スタートから、2024年1月に積立を停止し、解約に至るまで——主なポイントを抜き出しました。

時期 THEO ウェルスナビ
入金額 評価額 収支率 入金額 評価額 収支率
2017年5月(初期投資完了) 約200万円 約199万円 -0.7% 約200万円 約198万円 -1.1%
2018年4月(株価調整) 約219万円 約216万円 -1.3% 約221万円 約223万円 +0.7%
2018年9月(回復) 約231万円 約249万円 +7.8% 約231万円 約252万円 +9.2%
2019年12月 約261万円 約288万円 +10.2% 約261万円 約297万円 +13.9%
2020年7月(コロナの傷が残る時期) 約273万円 約268万円 -1.7% 約273万円 約292万円 +6.8%
2021年5月(上昇期) 約293万円 約348万円 +18.7% 約295万円 約406万円 +37.7%
2024年1月(積立停止時) 約345万円 約504万円 +46.1% 約359万円 約621万円 +73.0%
解約時(THEO:24/12・WN:25/1) 約345万円 約550万円 +59% 約359万円 約700万円 +95%

入金累計は2社合わせて約700万円、解約時の合計評価額は約1,250万円。約7〜8年で、入金額のおよそ1.8倍になりました。

最終的な収支率は、ウェルスナビが+95%、THEOが+59%。

決して悪い成績ではありません。むしろ「ちゃんとプラス」、それも倍近くに育ってくれた。

そして、これがロボアドの一番怖いところでもあったのです。

もし同じペースで「全世界株式インデックス」に入れていたら

ここで、自分でもずっと気になっていた問いに、数字で答えてみます。

同じ時期、同じ積み立てペースで、ロボアドではなく全世界株式インデックスに入れていたら、どうだったか

項目 私のロボアド実績
(THEO+ウェルスナビ)
全世界株式インデックス
(同じ入金スケジュールで仮想試算)
入金累計 約700万円 約700万円
評価額(2025年1月時点) 約1,250万円 約1,654万円
損益 +約550万円 +約950万円
損益率 +78% +135%

差額は約400万円

同じ時期に、同じだけ入金していたら、私はあと約400万円多く持っていた計算になります。

これは「手数料1%」だけの差ではありません。資産配分の違い——ロボアドは株式に加えて債券・金・REITを混ぜていたのに対し、全世界株式インデックスは100%株式——の影響も大きい。

ただ、振り返ってみれば、その分散は私には不要でした。長期で持つつもりがあって、下落にも動じない体力(個別株でジェットコースターを経験済み)があった私には、株式100%のリスクを取り続ける選択肢が、最初から適していたのです。

注記:このシミュレーションについて

このシミュレーションは、私が乗り換えた先のオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)が2018年10月設定で、ロボアド開始(2017年5月)の1年半後だったため、設定の早い「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT、2017年9月設定)」の実際の基準価額を使って計算しました。

ふく郎ブログで読者に薦めているオルカンで全期間試算したかったのですが、データが取れず、近いベンチマーク(楽天VT)で代用した形です。

ただし、もし2018年11月以降は、より信託報酬の安いオルカンに乗り換えていれば、もう少し有利でした。

  • 楽天VT:信託報酬 約0.195%(過去には0.24%の時期も)
  • オルカン:信託報酬 0.05775%(過去には0.11%の時期も)

信託報酬の差は年率約0.13〜0.14%。約6年3ヶ月の複利効果で、累積で約0.82%ほどオルカンが有利になります。

これを上記の評価額に当てはめると:

  • 楽天VT継続:約1,654万円
  • 2018年11月にオルカンへ乗り換え:約1,668万円(+約14万円)

楽天VTとオルカンの差は、計算上は約14万円。ロボアドとの差「約400万円」のスケールから見れば、楽天VT vs オルカンの差は誤差の範囲です。

つまり、本当の損失は「全世界株式インデックスの中で何を選んだか」よりも、「ロボアドを選んだか、全世界株式インデックスを選んだか」にあったのです。

気づいたのは「直売」のたとえだった

投資について真剣に最適解を勉強していくなかで、ある日、手数料1%という数字が突然重く感じられるようになりました。

オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の信託報酬は0.05775%。 ウェルスナビの手数料は1.1%。

差は約20倍です。

そして、ウェルスナビが買っているETFの中身を、改めて調べてみました。

ウェルスナビが買う主なETF内容経費率
VTI(バンガード)米国株 全市場0.03%
VEA(バンガード)日欧先進国株0.05%
VWO(バンガード)新興国株0.07%
AGG(iShares)米国総合債券0.03%
GLDM(SPDR)0.10%

※リスク許容度や時期によって、米国大型株(IVV)や米国不動産REIT(IYR)なども組み合わされます。

これらは全部、SBI証券で誰でも買えるETFです。

知ってはいました。ロボアドの中身が市販ETFの組み合わせだということは。

ただ、自分でも買えるけれど、「AIが予測して最適解として組んだポートフォリオ」に価値がある——そう考えていました。だから「騙された」とは思っていません。

これは「野菜の直売」と同じ話です。

直売所に行けば、農家が育てたままの野菜が一番安く買えます。スーパーや小売店を挟むと、その分の手数料が上乗せされる。当然のことです。誰も「スーパーに騙された」とは思いません。便利だから、その手数料を払って買っている。

ロボアドも同じでした。ETFを直接買えるのに、AIに最適解を組ませてもらう便利さに対して、年率1%を払っていた。それ自体は、決して理不尽な話ではありません。

ただ、ここに決定的な転機がありました。

「オルカンとS&P500だけでいい」という結論に、自分の中で達した日

その瞬間から、「AIが最適解を組む」というロボアドの最大の価値が、私には不要になりました。

最適解は、すでに自分の手元にあったからです。

新興国株も、債券も、金も、私には要らない。世界株式の指数に丸ごと連動するオルカンと、米国の代表500社のS&P500。この2本があれば、私の答えは出ていました。

そうなると、ロボアドが提供する「ポートフォリオ設計」というサービスへの対価は、自分には意味のないお金になります。

ふく郎

ロボアドは便利でした。ただ「便利さに払う対価」が、12〜20倍のコスト。それが見えた瞬間、私の中で答えが出ました。

下落も、私には「そよ風」だった

ロボアドのデメリットとして、よく「下落時に怖くなって解約してしまう人が多い」と言われます。

実際、2024年8月の急落時、ウェルスナビ利用者の99%超が出金せずに継続したというデータがあります。「下落時のパニック売りを防ぐ」というのは、ロボアド擁護派の最大の論拠です。

私のデータを見返しても、2018年4月や2020年7月に、一時的に元本割れになっている時期がありました。

でも、解約しようとは一度も思いませんでした。

理由は単純で、私はその少し前から個別株で、ロボアドの比ではないジェットコースターを経験していたからです。

雑誌のおすすめ銘柄で買ったユーグレナで-70%。約400万円の含み損。

そういう体験を経た身からすると、ロボアドの-1%や-2%は、そよ風でした。凪、と言ってもいい。何も動揺することはありませんでした。

ロボアドの「下落耐性効果」は、たぶん本物です。AIにおまかせだから安心できる、という心理は確かにある。

ただ、私の場合、それで持ち続けられたわけではなかった——という話です。

→ 個別株で何が起きたのかは、こちらに書いています:14年で約700万円失った「王道」の投資失敗

解約のとき、業界はすでに変わっていた

2025年1月。私はウェルスナビとTHEOを、両方とも一気に全額解約しました。

THEOは2024年12月に約550万円、ウェルスナビは2025年1月に約700万円。すべてオルカンとS&P500の原資に回しました。

このタイミングは、偶然ではありません。

その少し前、2024年11月。ウェルスナビは、三菱UFJ銀行に買収されることが発表されていました。翌2025年3月には、独立した会社ではなくなり、銀行の一部になっています。

これは、私には大事なサインに見えました。

ロボアド最大手のウェルスナビでさえ、「ロボアド一本」で会社を続けることが難しくなり、大手銀行の傘下に入る道を選んだ——そういうことだと、私は受け取りました。

もう一方の大手、THEOを運営する「お金のデザイン」も、2021年の時点で、すでに証券会社としての機能を別の証券会社(SMBC日興証券)に任せています。自社だけでは、証券会社の役割を維持しきれなくなっていた、ということです。

ロボアドという商売そのものが、業界として一段、難しい時期に入ってきていた。私が解約したのは、ちょうどその空気と重なるタイミングでした。

そしてもう一つ、業界の動きとは別に、私にとって解約の決め手になった事情があります。

NISA(ニーサ)の存在です。

NISAは、ご存じの方も多いと思いますが、投資で得た利益に税金がかからない、国が用意してくれた制度です。普通の口座で投資すると、利益が出たときにその約20%が税金として引かれます。NISA口座でなら、その20%がまるごと免除になる。長く運用するほど、この差は積み上がって大きくなります。

ここで大事なのは、NISAの枠は、一人につき一つ。年間で使える金額にも上限があるということ。だから、「どこで使うか」を選ばないといけません。

実は、ロボアドにもNISAに対応したサービスはあります(ウェルスナビの「おまかせNISA」など)。なので、ロボアドの中でNISA枠を使う、という選択肢もありました。

ただ私は、NISA枠は、SBI証券で自分でオルカンとS&P500を買うのに使うと、最初から決めていました。自分が買いたいものが明確だったからです。

結果として、ロボアドの口座は、ずっと「普通の口座」、つまり利益が出ればその約20%が税金として引かれる側で、何年も走り続けていたわけです。

毎年、手数料が1%。さらに、利益が出るたびに、その20%が税金として消えていく。

これだけで、もう検討の余地はありませんでした。

先人として、いま伝えたいこと

最後に、これからロボアドを始めるかどうか迷っている人、もしくはすでに使っていてやめるか迷っている人に、私の率直な意見を伝えたい。

まず、ロボアドが完全に悪だとは思っていません。

投資について何も知らない人——「自分で調べられない」「大損はしたくない」「投資詐欺など騙されたくない」という不安が強い人にとって、AIに任せた投資は「怖くない投資の入口」になり得ます。その入口に立っている間に、自分で投資の勉強を進めて、本当の最適解にたどり着く。そういう道筋はあると思います。

ただし、その「卒業ライン」を曖昧にしたまま、年率1%を払い続けるのは、もったいない。

7年運用した私が、いま率直に思うこと。

正解にたどり着くまで、多くの人は回り道をして当然です。私自身、ユーグレナで-400万円、ソーシャルレンディングで運に救われ、ロボアドで7年。回り道だらけでした。

ただ、昔と今で決定的に違うのは、正解を明確に教えてくれる場所が、いまはあるということ

私を含め、たくさんの先人たちが、自分の失敗を発信して道しるべを作ってくれています。「結局はオルカンとS&P500」という結論にたどり着いた人が、それなりの数いる。

でも、そこに邪魔をする人たちもいます

高額アフィリエイト報酬に目がくらんで、自分でも本当におすすめとは思っていない金融商品を、熱心に紹介する人たち。これは、紛れもなく初心者の判断を曇らせています。

誰を信じるか。読者の皆さんには、しっかり考えて判断してほしい——心からそう思います。

ふく郎

14年の遠回り、もっと早く誰かに教えてほしかった——というのは、私の本音です。私の失敗が、誰かの近道になればと願っています。

そして、最後にもう一つ。

投資のリターンは、ある程度決まっています。歴史的に、世界株式の年率リターンは6〜7%、S&P500なら8〜9%。誰がやってもこの平均から大きく外れることは、長期で見ればまずありません。

だからこそ、信託報酬や手数料は無視できないのです。年率1%の差は、20年・30年と積み重ねれば数百万円の差になる。

私の結論は、シンプルです。

オルカンとS&P500。それだけでいい

ふく郎

ふく郎のまとめ

  • 7年運用したロボアドの利益はちゃんとプラスだった。でも、オルカン直接ならさらに残る。その差は「手数料」だけだった
  • ロボアドが買うのはSBI証券で買えるETF。中身は同じ、手数料は約20倍。「直売所」と「スーパー」の関係と同じ
  • 下落時のパニック売りを防ぐロボアドの効果は本物。ただし個別株で大乱高下を経験した者には、ロボアドのマイナスは凪だった
  • ロボアド単独事業は限界期。ウェルスナビのMUFG子会社化、お金のデザインのSMBC日興移管がその象徴
  • 正解はもう明確にある。それを邪魔する高額アフィリエイトを見抜く目を、読者は持ったほうがいい
ふく郎
ふく郎

代々続く家業を継いだ40代半ばの現役経営者。近年中に事業を第三者へ譲り、FIREを目指す。 サラリーマンとは違う「経営者視点」のお金の話を、個人資産の実数値を公開しながら発信中。

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